外国人材の受入れには、紹介料・渡航費・住居手配・研修費など、決して少なくないコストがかかります。しかし、国や自治体の助成金・補助金を活用すれば、このコスト負担を大幅に軽減できます。

「外国人雇用に使える助成金があるなんて知らなかった」——そんな企業は意外と多いのが実情です。

この記事では、外国人材の採用・育成・定着に活用できる主要な助成金を、金額・要件・申請手順とともに一覧で解説します。

最大72万円人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備)
最大57万円キャリアアップ助成金(正社員化コース)
最大50万円人材開発支援助成金(人材育成コース)

外国人雇用で使える主要な助成金一覧

助成金名目的最大支給額対象
人材確保等支援助成金就労環境の整備72万円全外国人労働者
キャリアアップ助成金正社員化・処遇改善57万円/人有期雇用の外国人含む
人材開発支援助成金職業訓練・研修50万円全労働者(外国人含む)
トライアル雇用助成金試行雇用月4万円×3か月就職困難者(外国人含む)
雇用調整助成金雇用維持賃金の2/3全労働者(外国人含む)
💡 「外国人専用」の助成金は少ない 実は「外国人雇用に限定した」助成金は人材確保等支援助成金の1コースのみです。それ以外は**全労働者が対象**の助成金を、外国人材にも適用する形になります。「外国人だから使えない」と思い込んでいる企業が多いですが、正しく理解すれば活用の幅は広がります。

助成金1:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

外国人材の職場定着に最も直結する助成金です。就労環境の整備にかかった費用の一部が助成されます。

支給額

区分助成率上限額
賃金要件を満たす場合対象経費の2/372万円
賃金要件を満たさない場合対象経費の1/257万円

対象となる取り組み

  • 雇用労務責任者の選任
  • 就業規則等の多言語化
  • 苦情・相談体制の整備
  • 一時帰国のための休暇制度の整備
  • 社内マニュアル・標識の多言語化

申請の流れ

  1. 計画書の作成・提出:都道府県労働局に「外国人労働者就労環境整備計画」を提出
  2. 認定:労働局が計画を審査・認定
  3. 取り組みの実施:計画に沿って就労環境整備を実施(認定から1年以内)
  4. 支給申請:取り組み完了後、2か月以内に支給申請書を提出
  5. 支給決定:審査の上、助成金が支給される
🟢 活用のコツ 就業規則の多言語化や相談体制の整備は、特定技能の支援計画でも求められる内容と重なります。**特定技能の受入れ準備と同時に進める**ことで、効率的に助成金を活用できます。

助成金2:キャリアアップ助成金

有期雇用労働者の正社員化や処遇改善を行う企業を支援する助成金です。外国人材にも適用されます。

正社員化コース

区分支給額(中小企業)
有期→正規1人あたり57万円
無期→正規1人あたり28.5万円
💡 技能実習から特定技能への移行時に活用 技能実習終了後に特定技能として正社員化する場合、キャリアアップ助成金の対象になるケースがあります。雇用形態の変更が伴う場合は申請を検討しましょう。

賃金規定等改定コース

有期雇用労働者の基本給を3%以上増額改定した場合に支給されます。

賃上げ率支給額(1人あたり・中小企業)
3%以上5%未満5万円
5%以上6.5万円

助成金3:人材開発支援助成金

外国人材への職業訓練や日本語研修にかかる費用を助成します。

人材育成コース

項目助成内容(中小企業)
経費助成訓練経費の45%(賃金要件達成で60%)
賃金助成1時間あたり760円
上限額10〜50万円(訓練時間による)

対象となる研修例

  • 業務に関連する日本語研修(業務日本語がメイン)
  • 安全衛生教育(製造業・建設業の安全教育)
  • 技能検定対策の研修
  • 介護福祉士試験対策の研修
  • 機械操作・品質管理等の技術研修
⚠️ 申請のタイミングに注意 人材開発支援助成金は、**訓練開始の1か月前まで**に計画届を労働局に提出する必要があります。研修実施後の事後申請はできないため、受入れ前の段階で計画を立てましょう。→ [日本語教育の進め方はこちら](/articles/nihongo-kyoiku-kenshu)

助成金4:トライアル雇用助成金

就職が困難な求職者を試行的に雇用する企業に支給される助成金です。外国人材も対象になります。

項目内容
支給額月額最大4万円×最長3か月
対象者2年以内に2回以上離職・転職を繰り返している者等
要件ハローワーク等の紹介により雇用すること

自治体独自の補助金

国の助成金に加えて、自治体独自の補助金・支援制度も活用しましょう。

自治体制度名内容
東京都外国人材の受入れ環境整備事業コンサルティング・翻訳費用等を補助
愛知県外国人材活躍支援事業日本語教室運営、多言語相談等
大阪府外国人材受入れ環境整備事業生活支援・就労支援の費用補助
各市区町村多文化共生推進事業国際交流、日本語教室、相談窓口
🟢 自治体の補助金は見落としがち 国の助成金は広く知られていますが、**自治体独自の補助金**はあまり周知されていません。自社の所在地の自治体ホームページや産業振興課に問い合わせて、利用可能な制度がないか確認しましょう。

助成金申請の注意点

  • **事前申請が原則**:ほとんどの助成金は取り組み開始前に計画書の提出が必要
  • **不正受給は厳禁**:虚偽申請は返還命令+ペナルティの対象
  • **社会保険の加入**:対象労働者が社会保険に加入していることが前提
  • **労働関係法令の遵守**:労働基準法違反がある場合は支給対象外
  • **専門家の活用**:社会保険労務士に相談すると申請がスムーズ

よくある質問

Q. 助成金と補助金の違いは何ですか?

助成金は要件を満たせば原則支給されますが、補助金は予算に限りがあり審査で不採択になることがあります。外国人雇用関連は「助成金」が多いため、要件を満たせば受給できる可能性が高いです。

Q. 複数の助成金を同時に申請できますか?

はい、異なる目的の助成金であれば併給が可能なケースが多いです。例えば、人材確保等支援助成金(環境整備)と人材開発支援助成金(研修)は併用できます。ただし、同一の経費に対する二重申請はできません。

Q. 個人事業主でも申請できますか?

雇用保険の適用事業所であれば、個人事業主でも申請可能です。ただし、雇用保険に加入していることが前提条件です。

Q. 申請から支給までどのくらいかかりますか?

助成金の種類によりますが、支給申請から2〜6か月程度かかるのが一般的です。事業資金として当てにするのではなく、コスト回収の手段として位置づけましょう。

まとめ

📌 この記事のポイント
  • 外国人雇用に活用できる助成金は**最大72万円**(人材確保等支援助成金)。就業規則の多言語化や相談体制整備が対象
  • キャリアアップ助成金(正社員化57万円/人)、人材開発支援助成金(研修費の45〜60%)も**外国人材に適用可能**
  • **事前申請が原則**。受入れ前の段階で計画を立て、社会保険労務士に相談するのが確実

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