2024年6月の法改正により、技能実習制度は2027年に「育成就労制度」へ移行することが決定しました。しかし「具体的にいつ、何が変わるのか」「今いる技能実習生はどうなるのか」がわからないという企業の声が多く聞かれます。

この記事では、技能実習から育成就労への移行スケジュールと、企業が今から準備すべきことを時系列で整理します。

2027年育成就労制度の施行予定年
最長3年育成就労の基本的な在留期間
1〜2年後転籍が可能になるまでの最短期間

制度移行の全体スケジュール

時期出来事
2024年6月育成就労制度の創設を含む改正法が成立
2024年〜2026年政省令の整備、運用ルールの詳細策定
2027年(予定)育成就労制度の施行。新規の技能実習受入れは終了
2027年〜2030年頃経過措置期間。既存の技能実習生は現行制度で在留継続可能
2030年以降完全に育成就労制度へ移行
⚠️ 経過措置について 2027年の施行時点で既に技能実習として在留している外国人は、**現行制度のまま在留を継続**できます。途中で育成就労に切り替わることはありません。ただし、新規の技能実習生の受入れは施行後に終了するため、2026年度が最後の受入れになる可能性があります。

技能実習と育成就労——何が変わるのか

項目技能実習(現行)育成就労(2027年〜)
制度の目的技能移転(国際貢献)人材の育成と確保
在留期間最長5年(1号1年+2号2年+3号2年)基本3年
転籍(転職)原則不可1〜2年後に同一分野内で可能
対象分野90職種165作業特定技能の分野に対応
受入れ機関監理団体監理支援機関(名称変更・要件厳格化)
特定技能への移行試験合格が必要(一部免除)スムーズな移行を制度設計
日本語要件N4程度(目安)段階的な日本語能力の要件化
❗ 最大の変更点:転籍(転職)が可能に 現行の技能実習では原則として転籍(転職)ができませんが、育成就労では**就労開始から1〜2年後**に、同一分野内であれば本人の意思で転籍できるようになります。これにより、待遇の悪い企業からの人材流出リスクが生じます。

企業が今から準備すべき5つのこと

  1. 待遇の見直し:転籍が認められることで、給与・労働環境が悪い企業は人材が流出します。同業他社と比較して競争力のある待遇を整備しましょう
  2. 監理団体との関係確認:現在の監理団体が「監理支援機関」の新しい要件を満たすかどうか確認。要件を満たさない団体は存続できなくなります → [監理団体の選び方はこちら](/articles/how-to-choose-organization)
  3. 育成計画の策定:育成就労では、3年間の育成計画を策定し、特定技能への移行を見据えたスキルアップの道筋を明確にする必要があります
  4. 日本語教育体制の強化:育成就労では段階的な日本語能力の要件が導入されます。入国時だけでなく、在留期間中の日本語力向上を支援する体制を整えましょう → [日本語教育の進め方はこちら](/articles/nihongo-kyoiku-kenshu)
  5. 特定技能への移行計画:育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(無期限)という一貫したキャリアパスを設計 → [特定技能制度の詳細はこちら](/articles/tokutei-gino-toha)
📌 転籍への対策がカギ
  • 転籍されないために「**選ばれる企業**」になることが重要
  • 給与水準だけでなく、**働きやすさ・成長実感・生活支援**の総合力で勝負
  • 特定技能2号や永住権取得まで支援する姿勢が、最大の定着策

監理団体から「監理支援機関」へ

育成就労制度では、現行の監理団体は**「監理支援機関」**に名称変更され、要件が厳格化されます。

項目現行(監理団体)新制度(監理支援機関)
許可要件現行基準厳格化(外部監査の義務化等)
名称監理団体監理支援機関
役割監理・指導監理・指導+転籍支援
罰則現行水準強化(悪質な団体の排除)
🟢 良い監理支援機関を見極めるポイント 制度移行に向けて、既に準備を進めている監理団体は信頼性が高いと言えます。移行スケジュールや新制度への対応方針について質問し、明確な回答が返ってくるかどうかが判断材料になります。

現行制度で受け入れ中の企業へのアドバイス

2026年度に新規受入れを検討している場合

2027年施行前の最後の受入れになる可能性があります。技能実習3号まで(最長5年)受け入れれば、2031〜2032年頃まで現行制度の枠組みで雇用を継続できます。

技能実習2号修了者がいる場合

特定技能1号への移行を積極的に検討しましょう。育成就労制度の施行を待つ必要はなく、現行制度でも特定技能への移行は可能です。

技能実習1号を受け入れたばかりの場合

2号・3号への移行を計画通り進めつつ、並行して育成就労制度の情報を収集しましょう。経過措置により、現行制度のまま在留継続が可能です。

よくある質問

Q. 育成就労制度の施行日は確定していますか?

2027年の施行を目指して準備が進められていますが、具体的な施行日(月日)はまだ確定していません。政省令の整備状況により、多少の前後がある可能性があります。

Q. 技能実習生が育成就労に自動的に切り替わりますか?

いいえ、既存の技能実習生は経過措置により、現行制度のまま在留を継続します。途中で強制的に切り替わることはありません。

Q. 転籍されないためにはどうすればよいですか?

「選ばれる企業」になることが最善の対策です。競争力のある給与、働きやすい職場環境、キャリアアップの支援、生活面のサポート——これらを総合的に整備することで、転籍のリスクを最小限に抑えられます。→ 定着率を上げる方法はこちら

Q. 育成就労制度で受入れコストは変わりますか?

詳細はまだ確定していませんが、監理支援機関の要件厳格化に伴い、管理費がやや上昇する可能性があります。一方で、制度の透明性が高まることで、不当な費用徴収は減少すると期待されています。→ 費用比較はこちら

まとめ

📌 この記事のポイント
  • 技能実習制度は**2027年に育成就労制度へ移行**予定。既存の技能実習生は経過措置で現行制度を継続可能
  • 最大の変更点は**転籍(転職)が可能**になること。「選ばれる企業」になるための待遇・環境整備が急務
  • 育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 2号(無期限)の**一貫したキャリアパス設計**が、長期的な人材確保の鍵

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