外国人材の採用・雇用に関わる企業にとって、見逃せない法改正が2026年5月に成立しました。在留資格の更新や永住許可にかかる手数料が、これまでの数倍〜最大30倍に引き上げられます。

「次の更新でいくらかかるのか」「会社が負担すべきなのか」——この記事では、改正入管法による手数料値上げの全容と、企業が今から取るべき具体的な対策を整理します。

最大30倍永住許可の手数料上限引き上げ幅
約20万円永住許可の手数料見込み額
2026年度中新手数料の施行予定時期

改正入管法の概要と成立経緯

2026年3月10日、政府は出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正案を閣議決定し、国会に提出しました。改正案は衆議院を経て、2026年5月29日に参議院本会議で可決・成立しています。

今回の改正の柱は、在留資格に関する各種手数料の上限額の大幅引き上げです。背景には、日本に在留する外国人の増加に伴い入管業務のコストが拡大していることがあり、「受益者負担」の原則に基づく見直しとされています。

⚠️ 上限額と実際の手数料は異なります 法律で定められるのは手数料の「上限」です。実際に徴収される金額は、上限の範囲内で政令(施行令)によって決定されます。

手数料はいくらになるのか——具体的な金額を比較

在留資格の変更・更新(上限:10万円)

許可される在留期間の長さに応じて手数料が変わる仕組みが導入されます。出入国在留管理庁が示した目安は以下のとおりです。

在留期間現行手数料改正後の目安引き上げ幅
3カ月6,000円約1万円約1.7倍
1年6,000円約3万円約5倍
3年6,000円約6万円約10倍
5年6,000円約7万円約12倍

※電子申請の場合、現行は5,500円。改正後の電子申請割引の有無は政令で決定予定です。

永住許可(上限:30万円)

手続き現行手数料改正後の目安引き上げ幅
永住許可1万円(8,000円)約20万円約20倍

※カッコ内は電子申請の場合の現行額です。

📌 金額のポイント
  • 在留期間が長いほど手数料が高くなる新しい仕組み
  • 特定技能1号(1年更新)の場合、更新ごとに約3万円の見込み
  • 永住許可は現行の約20倍、約20万円が目安

施行はいつから?スケジュールを整理

改正法は成立済みですが、具体的な手数料額と施行日は政令で定められます。

  1. 2026年3月10日:改正法案を閣議決定・国会提出
  2. 2026年5月29日:参議院本会議で可決・成立
  3. 2026年度中(見込み):政令公布、新手数料の施行開始
  4. 2027年4月(予定):育成就労制度の施行開始
⚡ 2026年度中に施行の可能性 法律の附則では公布から1年以内の施行が定められているため、早ければ2026年秋〜冬、遅くとも2027年5月までには新手数料が適用される見込みです。直近の在留期間更新を控えている場合は、施行前の申請も検討しましょう。

企業への影響と負担の考え方

手数料は誰が払うのか

法律上、在留手数料の負担者について企業に義務付ける規定はありません。企業が負担するか、外国人本人が負担するかは、就業規則や雇用契約の定めによります。

ただし実務上は、特定技能や技能実習(育成就労)で外国人材を受け入れている企業の多くが、在留資格の更新手数料を会社負担としているケースが一般的です。

企業のコストシミュレーション

特定技能1号で外国人材を10名雇用し、毎年1年更新を行う企業のケースで試算します。

項目現行改正後(目安)
1名あたり年間更新手数料6,000円約3万円
10名分の年間合計6万円約30万円
5年間の累計30万円約150万円

年間で約24万円、5年間で約120万円のコスト増となり、中小企業にとっては無視できない金額です。

企業が今から取るべき5つの対策

  1. コスト試算の見直し:現在雇用中の外国人材全員の更新時期と、新手数料での費用を一覧化する
  2. 就業規則・雇用契約の確認:手数料の負担区分が明記されているか確認し、必要なら改定を検討する
  3. 施行前の前倒し申請:更新時期が近い場合、現行手数料が適用されるうちに申請することで費用を抑えられる可能性がある
  4. 在留期間の最適化:3年や5年の長期許可を取得できる条件を満たしているか確認し、更新頻度を減らす
  5. 予算計画への反映:2026年度〜2027年度の人件費・採用コスト計画に、手数料増加分を織り込む
💡 在留期間を長くする方が有利? 手数料は在留期間が長いほど高くなりますが、更新頻度が下がるため、トータルコストは長期許可の方が安くなるケースが多いです。例えば、1年更新を5回繰り返すと約15万円ですが、5年許可を1回取得すれば約7万円で済みます。

よくある質問

Q. 手数料値上げはいつから適用されますか?

改正入管法は2026年5月29日に成立しました。具体的な手数料額と施行日は政令で定められ、2026年度中〜2027年5月までの施行が見込まれています。正式な施行日は官報での公布を確認してください。

Q. 特定技能の外国人材にはどのような影響がありますか?

特定技能1号は通常1年ごとの在留期間更新が必要です。更新のたびに手数料が現行の6,000円から約3万円に上がるため、企業が負担している場合は年間コストが大幅に増加します。特定技能2号への移行により5年許可が得られれば、更新頻度を減らすことも可能です。

Q. 永住許可を検討中ですが、施行前に申請すべきですか?

永住許可の手数料は約20万円になる見込みです。すでに永住要件を満たしている場合は、現行の1万円のうちに申請を行うことでコストを大幅に抑えられます。ただし、要件を満たしていない段階での申請は不許可リスクがあるため、行政書士等の専門家に相談することをおすすめします。

Q. 企業が手数料を負担する法的義務はありますか?

法律上の義務はありません。ただし、特定技能の支援計画や、外国人材の定着促進の観点から、企業が全額または一部を負担しているケースが多いのが実情です。今回の値上げを機に、負担区分を就業規則等で明確化しておくことが重要です。

まとめ

📌 この記事のポイント
  • 改正入管法が2026年5月に成立——在留資格変更・更新は上限10万円、永住許可は上限30万円に引き上げ
  • 実際の手数料は政令で決定予定で、1年更新で約3万円、永住許可で約20万円が目安。2026年度中の施行見込み
  • 企業は今のうちにコスト試算・就業規則の確認・施行前の前倒し申請を検討し、外国人材の受入れ体制を再点検すべき

外国人材の受入れコストが変わるこのタイミングで、自社の採用・雇用戦略を見直してみてはいかがでしょうか。制度の基本から確認したい方は、以下の関連記事も参考にしてください。

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