2026年1月、政府は特定技能制度の対象に物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3分野を新たに追加することを閣議決定しました。いずれも深刻な人手不足を抱える業種であり、外国人材の力を借りて日本の生活インフラを維持しようという動きです。

「うちの業種でも外国人を採用できるようになるの?」「何から準備すればいい?」――そんな疑問を持つ企業の採用担当者に向けて、3分野それぞれの業務内容・受入れ要件・今から始められる準備を解説します。

3分野物流倉庫・リネンサプライ・資源循環が追加
約2万人3分野合計の受入れ見込み数(2028年度末まで)
2027年4月試験開始・受入れスタート予定

新3分野が追加された背景

日本では少子高齢化に伴い、生活インフラを支える現場の人手不足が深刻化しています。特に物流倉庫業界はEC市場の拡大で取扱量が急増する一方、倉庫作業員の確保が追いつかない状況です。リネンサプライ業界も、病院・介護施設・ホテルのリネン需要は増える一方で、洗濯・仕上げ作業の担い手が不足しています。

こうした背景から、政府は2026年1月23日の閣議決定で、特定技能1号の対象分野を従来の16分野から19分野に拡大。受入れ見込み総数も約82万人から約123万人に引き上げました。

注意:受入れ開始は2027年4月予定 閣議決定は2026年1月ですが、実際の試験実施と受入れ開始は2027年4月以降の予定です。2026年中は準備期間となるため、今のうちに体制を整えておくことが重要です。

分野1:物流倉庫

対象となる業務

物流倉庫分野では、倉庫内での商品の入出庫管理、仕分け、ピッキング、検品、梱包、在庫管理などの業務が対象です。フォークリフトを使った荷役作業も含まれます。

項目内容
対象業務入出庫管理、仕分け、ピッキング、検品、梱包、在庫管理
受入れ見込み数11,400人(2028年度末まで)
日本語要件JFT-Basic または JLPT N4以上
技能試験物流倉庫分野特定技能1号評価試験
派遣の可否不可(直接雇用のみ)
雇用主の条件倉庫業法に基づく登録事業者
ポイント:派遣は禁止 物流倉庫分野では派遣形態での雇用は認められていません。農業や漁業とは異なり、受入れ企業が直接雇用する必要があります。人材紹介会社を通じた紹介は可能ですが、雇用契約は自社で結びましょう。

企業に求められる要件

  • 倉庫業法に基づく登録事業者であること
  • 特定技能外国人の受入れに関する協議会への加入
  • 安全衛生教育の実施体制があること
  • 1号特定技能外国人支援計画の策定(または登録支援機関への委託)

分野2:リネンサプライ

対象となる業務

リネンサプライ分野は、病院・介護施設・ホテルなどで使用されるシーツ・タオル・ガウン等のリネン類の回収・洗濯・仕上げ・供給を行う業務が対象です。

項目内容
対象業務リネン類の回収、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、たたみ、供給
受入れ見込み数4,300人(2028年度末まで)
日本語要件JFT-Basic または JLPT N4以上
技能試験リネンサプライ分野特定技能1号評価試験
派遣の可否不可(直接雇用のみ)
リネンサプライ業界の現状 日本のリネンサプライ業界は約1,500社が稼働しており、その多くが中小企業です。高齢化と若年層の業界離れにより、慢性的な人手不足に陥っています。特にホテルや病院からの需要が増える中、外国人材の活用は業界の存続にとって重要な選択肢となっています。

業務上の特徴

リネンサプライは衛生管理が特に重要な分野です。病院のリネンは感染防止の観点から厳格な洗浄基準が求められるため、衛生管理に関する教育が不可欠です。

  • 洗浄・消毒の手順を母国語でもマニュアル化する
  • 感染性リネンの取り扱い研修を実施する
  • 作業場の温度・湿度管理に関する注意事項を共有する
  • 機械操作の安全教育を定期的に行う

分野3:資源循環

対象となる業務

資源循環分野では、廃棄物の収集・運搬、選別、リサイクル処理、最終処分に関する業務が対象です。一般廃棄物と産業廃棄物の両方が含まれます。

項目内容
対象業務廃棄物の収集・運搬、選別、破砕、リサイクル処理
受入れ見込み数5,000人(2028年度末まで)
日本語要件JFT-Basic または JLPT N4以上
技能試験資源循環分野特定技能1号評価試験
派遣の可否不可(直接雇用のみ)
雇用主の条件廃棄物処理法に基づく許可事業者
安全管理に特に注意 資源循環分野は、有害物質や重機を扱う場面があるため、安全教育が極めて重要です。労働安全衛生法に基づく特別教育の実施が求められるケースも多く、外国人材にも日本人と同等の安全教育を行う義務があります。

3分野共通の受入れ要件

3分野に共通する外国人材の要件と、企業側の準備事項をまとめます。

外国人材に求められる要件

  1. 日本語能力:JFT-Basic(A2相当)またはJLPT N4以上に合格していること
  2. 技能試験:各分野の特定技能1号評価試験に合格していること
  3. 年齢:18歳以上であること
  4. 健康状態:業務に支障のない健康状態であること

企業が今から準備すべきこと

受入れ開始は2027年4月ですが、準備は早いに越したことはありません。

  1. 情報収集:出入国在留管理庁やJITCOの最新情報を定期的にチェック
  2. 社内体制整備:外国人材の受入れ担当者を決め、支援計画を検討
  3. 登録支援機関の選定:自社で支援計画を実施するか、外部に委託するか判断
  4. 住居・生活環境の準備:住居の確保や生活オリエンテーションの計画
  5. 既存社員への説明:外国人材と一緒に働くための社内理解を促進
準備のポイント
  • 2026年中は試験実施前の「準備期間」。この間に登録支援機関の選定や社内体制の構築を済ませておく
  • すでに特定技能制度で外国人材を受け入れている企業は、既存のノウハウを新分野にも活用できる
  • 初めて外国人材を受け入れる企業は、まず採用の流れ登録支援機関の選び方を確認

よくある質問

Q. 2026年中に採用を始められますか?

試験の実施と実際の受入れは2027年4月以降の予定です。2026年中は準備期間として、社内体制の整備や登録支援機関の選定を進めておくことをお勧めします。

Q. すでに技能実習生を受け入れている場合、新分野への移行は可能ですか?

技能実習から特定技能への移行には、対象分野の技能試験に合格する必要があります。ただし、新3分野は技能実習の対象でもあるため、育成就労制度の施行後には、育成就労から特定技能へのスムーズな移行が想定されています。

Q. 受入れ人数に上限はありますか?

2028年度末までの受入れ見込み数は、物流倉庫が11,400人、リネンサプライが4,300人、資源循環が5,000人です。見込み数に達した場合、新規受入れが制限される可能性があります。実際に外食業では上限到達により2026年4月に新規受入れが停止されました。

Q. どの国からの人材が多くなりそうですか?

既存の特定技能分野ではベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマーからの人材が多くを占めています。新3分野でも同様の傾向が予想されますが、送出し国との二国間協力覚書(MOC)の状況によって変わる可能性があります。

まとめ

この記事のポイント
  • 2026年1月の閣議決定で、特定技能に物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3分野が追加。受入れ開始は2027年4月予定
  • 3分野とも日本語能力(N4以上)と技能試験の合格が必要。派遣は不可で直接雇用のみ
  • 2026年中の「準備期間」を活用して、登録支援機関の選定・社内体制の整備・住居確保を進めておくことが採用成功のカギ

関連記事: